Cultivation shiitake

  1. 原木の伐採

    • 原木シイタケの原木は、主にどんぐりのなる木、クヌギやコナラを利用します。各地の山が紅葉し始めた頃、シイタケ栽培用の原木が伐採されます。山の木が伐採されることは、自然破壊だと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ナラ・クヌギの林は15〜20年で更新できます。広葉樹林がシイタケ栽培の資源として増えることは水不足や水害を防ぐのはもちろんのこと、野鳥や小動物の住みやすい環境を作ることにもなり、正に自然を守り育てることへとつながります。

    • 伐採は木の根元付近から木を倒すように切ります。切り倒したまま置くと、葉からだんだんと水分が抜けていき、植菌に適した状態になります。葉枯らしの後、管理しやすいように90cm〜1mの長さに玉切り*をされ、12月〜4月位までの間に植菌作業が行われます。

      ※玉切りとは、伐採した木を、原木として利用できる長さに切断すること。

    • 切り倒したまま置くと、葉からだんだんと水分が抜けていき、そして木の切り株からは春、新しい芽が芽吹きます。これを萌芽更新(ぼうがこうしん)といいます。新しい芽は再びCO2を活発に吸収しながら元気よく成長し、それを繰り返すことで健康的な森が常に維持され、森林の荒廃の原因である山の手入れがなされるのです。 原木シイタケは森の木を有効に使う古くから伝統のある栽培方法です。原木シイタケを作ること、食べることは、日本の豊かな森林を守り、地球温暖化防止にも役立っています。

  2. 植菌

    • 植菌とは原木に種菌を植え付けることをいいます。植菌作業に入る前に生産農家では品種を選択します。シイタケにも他の野菜同様多くの品種があります。農家では発生時期や形質など色んな角度から自分の経営に合った品種を選びます。

    • 種菌の規格も経営形態で違ってきます。使用する原木の太さや初回目の発生の開始時期などでオガクズ菌・コマ・成型菌のどれを使うかを決めます。植菌作業は12月から4月位まで行います。椎茸栽培農家もこの時期が一番忙しく、家族を総動員して植菌作業に取り掛かります。作業の仕方も本伏せを行う場所の関係や使用する種菌の規格によって様々です。種菌を植えた原木を榾木(ほだ木)といいます。

  3. 仮伏せ

    • 植菌が終了した原木はシイタケ菌を活着させ、原木内に伸長・蔓延させる目的で仮伏せ作業を行います。厳寒期でもシイタケ菌が元気に伸びていけるように、仮伏せハウス内などで保温と保湿を図ります。山林内で行う場合も、害菌に侵されないよう風通しを良くしたり、直射日光が当たらないよう注意し、榾木を伏せます。

      ※活着とは、植菌したオガ菌やコマ菌の菌糸が原木に移り、伸長しはじめること。

  4. 本伏せ

    • 仮伏せの終わった榾木は、本伏せに展開します。展開場所は人工榾場か林内榾場が一般的です。ここでの管理は必要に応じて人工散水を行いながら、シイタケ菌が榾木を腐朽することを目的としています。

  5. 浸水

    • 計画的に人為的にキノコを発生させるためには発生操作が必要です。そのもっとも一般的な方法がホダ木を浸水することです栄養条件を十分に満たしている菌糸(栄養菌糸)に発生のスイッチを入れるための作業です。発生に必要な水分の補給(キノコの90%は水分)。

      スイッチの条件:温度刺激、水分刺激、物理的刺激

  6. 発生・収穫

    • キノコの発生量や発生時期は、使用した品種や榾木の質、管理方法などによって変化しますが、早いものであれば植菌年の夏から発生させます。夏場のシイタケもバーベキューなどに使われ需要が伸びています。生産者はシイタケの大きさや品質などの出荷規格に合わせて選別し、市場やスーパーマーケットなどに出荷します。

    • シイタケ栽培では、春や秋の自然発生によりキノコを収穫できますが、榾木を浸水させることにより定期的にキノコを発生させることができます。定期的に発生させることで、年間の発生量を多くでき、計画的に榾木を利用することができます。キノコは丁寧に一枚ずつ、柄を持ってもぎ採り収穫します。

  7. 販売

    • シイタケには、原木栽培と菌床栽培があり、こうした原木栽培で作られたシイタケには原木栽培とシールなどで表示されています。スーパーマーケットなどでこの表示を見かけられたら、ぜひともご賞味ください。